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2015年の世界的リスクは中国経済か


2015年3月18日
澁谷 司


昨2014年、中国のGDPは7.4%へ下落し、経済の減速が明らかになっています。
第1に、中国国内の不動産価格は、9ヶ月連続で下落(2014年5月~2015年1月)しました。これが単なる価格調整であれば良いのですが、“不動産バブルの崩壊”とも考えられます。

第2に、中国貿易総額の伸長が鈍化しています。2014年は、4兆3030億米ドル(約516兆円)で、前年比3.4%の伸びにとどまり、政府が掲げた7.5%の伸びを大きく下回ったのです。世界的な経済減速、特にEU経済低迷の影響を受けていると思われます。

第3に、昨今、中国からキャピタルフライト(外資逃避)が起きています。例えば、2014年、日本からの対中投資(265億7000万元<約5083億円>)が前年比38.8%減と大きく落ち込んでいます。

日系企業では、パナソニック・ホンダ・シチズン等が生産の一部を中国から日本国内へ回帰しています。中国国内の賃金上昇で生産コストが増大したことに加え、「チャイナ・リスク」を避ける意味合いがあるのでしょう。

第4に、中国はエネルギー消費量が減少しています。同国は、エネルギーを石炭に約7割も依存しているので、当然、石炭生産量も落ちています。同様に、工業生産に必要な銅の消費量も減っているのです。

第5に、近頃、中国では消費者物価指数がほとんど上昇せず、デフレ傾向にあります。習近平政権の行っている「贅沢禁止令」の影響が見て取れます。もし、成長を優先させるならば、党・政府の役人等は、“贅沢三昧”にカネを使った方が良いのではないでしょうか。

今年の旧正月(春節)、中国人旅行客が訪日し、その“爆買”ぶりが話題になりました。中国国内の製品は信用ならないし、日本で大枚をはたくなら、問題がないからでしょう。

第6に、中国政府は環境汚染対策にようやく重い腰をあげました。例えば、当局は、20年間で大気汚染を一掃し、空をクリーンする政策を打ち出したのです。しかし、それには、莫大な対策費用がかかります。すると、すでにGDPの200%を超すと目される財政赤字が、一段と拡大するかもしれません。

第7に、地方政府の融資平台(地方政府傘下にある投資会社。資金調達とデベロッパーの機能兼備)には、約7兆元(約140兆円)の負債があると見積もられています。経済減速で、更なる負債が顕在化する可能性もあります。

ギリシア経済危機とウクライナ問題と並んで、中国経済の低迷は世界的なリスクの一つに間違いないでしょう。