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『人民日報』に掲載された習主席批判記事


2016年7月1日
澁谷 司


今年6月13日付『人民日報』に、侯立虹の「最高指導者はどのように名実ともに成りうるか」という一文が掲載されました。以下がその概要です。

現在、1人の最高責任者が政治・経済・外交・改革の深化等のすべてを仕切っています。けれども、1人の人間がすべてを掌握するには限界があるでしょう。

もし、自分が1番だと思い込み、自分の講話を政策にすれば、傲慢かつ尊大です。そして、唯我独尊となり、往々にして天寿をまっとうできません。

この文章は、李克強首相周辺が面と向かって習主席を批判したのです。
実は、先月5月9日付『人民日報』では、習近平主席側近の「権威人士」(政府中枢要人)による中国経済を診断した記事が掲載されました。

その「権威人士」の分析によれば、今後、中国経済の「U字回復」は難しく、数年は「L字型」状況が続くと言います。これは、習主席周辺による露骨な李克強首相批判です。今回は、その李批判に対する反論でしょう。

よく知られているように、『人民日報』は新華社とCCTV(中央電視台)共に、中国共産党の宣伝を担います。

今年2月19日、習近平主席が突然、これら3つのメディアを訪問し、党への“絶対的忠誠”を求めました。

これ以降、相次いで、党内や一部の中国メディアから習主席への反発が見られました。ただし、それらは、ネット上であったり、(香港を含む)地方新聞だったりしたのです。

今年3月、少なくとも2度、習近平主席に対し、ストレートな辞任要求が行われています。1度目は、ネット上の『無界新聞』(新疆ウイグル地方政府系サイト)であり、2度目は、『明鏡新聞網』(米国ニューヨークに本部)上でした。

また、今年3月の全人代期間中、新華社が習近平主席の肩書きを“最高の指導者”とすべきところを、“故意”に“最後の指導者”としました。

他方、馬雲のアリババ集団傘下にある香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙が、今年3月末、本来、2015年に徐才厚が“死亡”したとすべきところを、“わざと”習近平主席が“死亡”したという誤報を流しました。

しかし、今回、党内闘争の主戦場がついに『人民日報』へと移ったのです。
「太子党」の習近平主席と「共青団」の李克強首相が真正面から戦っている公算が大きいと思います(「上海閥」は「共青団」を応援している可能性があります)。共産党内闘争のゆくえは予断を許さない局面に突入しました。