グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索

TOP >  コラム >  漂流するアメリカ-トランプ政権の100日を問う-

漂流するアメリカ-トランプ政権の100日を問う-


2017年5月15日
川上高司


トランプ政権が発足し100日ほどが経ちましたが話題が大きい割にはその成果はそれほどなく、進歩よりも停滞がみられる今日この頃です。トランプ大統領は政権発足時から矢継ぎ早に大統領令を出しオバマケアを廃止、TPPの不参加といったオバマ大統領の政策を否定しトランプらしさを強調しました。しかし実際には議会や国民の反対にあい実行はできず、支持率は低迷しています。

そんな中、5月10日、突然コーミーFBI長官をトランプは解任しました。あまりにも唐突な解任だったため、さまざまな憶測が流れました。

ホワイトハウス報道官とセッションズ長官は、コーミー長官の解任はローゼンスタイン司法副長官の進言によると発表しました。解任までの流れを追ってみます。3月20日、コーミー長官は議会の公聴会でFBIは昨年の大統領選挙へのロシアへの関与を調査していると証言しました。

5月8日、トランプ大統領はセッションズ司法長官とローゼンスタイン副長官と会合を持ち、そこではセッションズ長官とローゼンスタイン副長官はFBIのロシア疑惑の調査報告を行い、コーミーの解任を進言したと推測されます。そして報道発表です。

ところが11日、トランプ大統領はコーミーの解任は進言以前から決めていたことであり自分の判断だとコメントしました。大統領によるとコーミーは目立ちたがり屋でそのためFBIは大混乱に陥っている、その責任を取らせたということです。

この解任は政府の干渉である、売られた喧嘩は買ってやるとばかりに同日開かれた公聴会でマックケイブFBI長官代行は「コーミー氏のFBI当局内の職員の支持は厚かった。誰もが、もちろん私も彼へは絶大な信頼と尊敬を寄せていた」と真っ向からトランプ大統領に反論しました。そしてロシア疑惑の調査は継続しその報告はホワイトハウスには今後上げることはしないと宣言しました。

コーミーは2013年オバマ大統領によって指名されFBI長官に就任しました。長官の任期は10年です。大統領には解任の権限があるので今回の解任は違法ではありません。しかしFBIは独立した捜査機関であり、その長官が任期途中で解任されるのは権力による捜査機関への干渉ととらえられかねません。そのため歴代大統領は解任には慎重でしたがトランプ大統領は型破りで前例にとらわれないようです。

コーミーの解任の真相はどこにあるのでしょうか。コーミーを就任させたのがオバマであったことが最も大きな動機だったのではないでしょうか。オバマ時代をあまねく否定することがトランプ大統領の思考の大きな柱だとしたらこの政権はどこへ向かうのでしょうか。アメリカ大統領が世界に与える影響は計り知れません。トランプ大統領の思考の行き先を慎重に考察していく必要があります。