グローバルナビゲーションへ

本文へ

フッターへ



サイトマップ

検索

TOP >  コラム >  「習近平思想」とは何か?

「習近平思想」とは何か?


2018年3月
澁谷 司


今年(2018年)1月19日、第19期中央委員会第2回全体会議(2中全会)が閉幕しました。そして、その会議で「習近平思想」の憲法入りが決定されたのです。3月初旬の「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)で、それが承認されるでしょう。

はたして「習近平思想」は「毛沢東思想」と同格なのでしょうか。「習近平思想」は「鄧小平理論」を超越し、「毛沢東思想」に匹敵するといいます。ましてや、江沢民の「3つの代表」や胡錦濤の「科学的発展観」を凌駕するというのです。

しかし、「3つの代表」・「科学的発展観」・「習近平思想」は、すべて王滬寧(復旦大学教授。昨年10月に政治局常務委員入り)が考案したモノです。

したがって「3つの代表」・「科学的発展観」・「習近平思想」が同列ならばわかります。だが、なぜ「習近平思想」だけが突出しているのか不思議です。

元来「毛沢東思想」(例:農村から都市を包囲する)や「鄧小平理論」(例:白猫でも黒猫でも、ネズミを取る猫は良い猫だ)は毛沢東と鄧小平のオリジナルの思想・理論です。

前者は、毛沢東がマルクス主義の「都市が農村を包囲する」という理論を中国の実情に合わせてひっくり返し、見事、「中国社会主義革命」を成就させました。

後者は、“現実主義者”の鄧小平が、「4人組」の社会主義政策では、中国の未来はないとして、「改革・開放」を掲げて資本主義を導入しました。その後、中国の急速な経済発展は世界中を驚嘆させています。

繰り返しになりますが、「習近平思想」とは3代にわたり国家主席に仕えたブレーンの王滬寧による“創作”です。習近平主席が自らオリジナルな思想を創造したのではありません。

さて、この「習近平思想」とは、「(習近平)新時代の中国の特色ある社会主義」を指します。具体的には、「偉大なる中華民族の復興」を目指し、「2つの100周年」―2021年の中国共産党結党100周年と2049年の中華人民共和国建国100周年―を盛大に祝うのでしょう。

しかし、これらは“思想”とは名ばかりで、単なる“スローガン”に過ぎないのではないでしょうか。
そもそも、習近平主席に特別立派な業績があるのでしょうか。
以前から我達がたびたび主張しているように、「反腐敗運動」は、主に「上海閥」をターゲットにした“恣意的”な政治運動に過ぎません(重慶市トップだった薄熙来が行った政策の“全国版”)。超法規的な「双規」(共産党のルール)で政敵を追い落とします。これが、本当に習主席の業績と言えるのでしょうか。