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プーチンの北朝鮮訪問で気になる中国の出方


2024年6月
荒木和博
 ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を訪問したということについて、どうなっているんだろうと思っている方は少なくないでしょう。細かいことは報道にお任せしますが、私が一番注目しているのはこれから中国がどう出るかということです。冷戦時代も中国とソ連は北朝鮮の引っ張り合いをやっていました。同じ共産圏の国ですからみんな同盟国ということだったのですが、中国とロシアは昔からあまり仲が良くない。今後また色々な波紋が起きると思います。
 北朝鮮はソ連が作った国です。しかし1950年6月に開戦した朝鮮戦争の時、ソ連はパイロットを極秘に送り込んだりはしてますが、北朝鮮が敗北の危機に直面しても正式の参戦はしなかった。それに対して中国は「人民義勇軍」という名目で北朝鮮が劣勢になった後1950年の10月から100万人とも言われる将兵を送り込んで、何十万の犠牲者を出して北朝鮮を守り抜いた。ソ連が産みの親で中国が育ての親ということになります。
 しかし、産みの親にとっても育ての親にとってもこの子供は非常に扱いにくい。産みの親がちょっときついことを言うと育ての親の方に行ってしまう。育ての親が文句を言うと産みの親のところに帰ってしまう。そうするとそれぞれ面子を潰される。極めてざっくりした話ですし、逆に双方から干渉を受けていたとも言えるのですが、大体こんな構図だったのではないでしょうか。
 冷戦後、ソ連崩壊でロシアの影響力は一度大きく低下します。しかし何と言っても核大国。プーチン政権によって、ウクライナ侵攻などもあり、国際的な重要性は戻ってきています。
 ロシアのプレゼンスがなかった頃はアメリカと中国で引っ張り合いをやっていたんですが、バイデン政権で疎遠になり、今度はそこに再びロシアが入ってきたということだろうと思います。そうすると中国・習近平政権にとっては自分の縄張りを荒らされたみたいな気分になるわけで気分が良くない。今後北朝鮮にどう出るかは注目です。
 もう一つ、プーチン大統領は色んなことを言っていましたが同盟関係も何も、口だけのところがあるのではないでしょうか。一応パフォーマンスとしては北朝鮮を全面的に支援するという形にした方がいいんだろうということでしょう。本気で助けるつもりはないと思います。
 では日本はどうすべきか。
 このような状況ではいくら「これから東アジアはどうなるか」などと予測してもほとんど意味がありません。日本は日本のやりたいこと、やるべきことを正面から主張して実行していくということに結局尽きるのではないかと思います。ときどき囲碁に例えるのですが、白と黒だけでやってれば決着というのがちゃんとつきます。けれどもこの日米中露南北朝鮮、場合によっては台湾も入ると7カ国。黒と白でやっていたつもりが、横から緑色とか赤とか黄色とか紫とか青の碁石が置かれて一体誰が勝っているのか、あるいは不利なのか分からない。そういう状況なのではないかと思います。そしてこの状況は今後も未来永劫続くと覚悟することが必要ではないでしょうか。(了)